
の浮遊物を発見し、付近一帯の捜索を続けた。
一方、指定海難関係人は、直ちに25号のレーダー映像が消失した旨を戸田漁業協同組合長に連絡するとともに、浜平丸船団に直接連絡して捜索の応援を依頼し、清水海上保安部にも事実を伝えた。
午後十時十分。ころ戸田漁業協同組合では、対策本部を設置し、既に捜索中の五郎竹丸船団に、浜平丸船団四隻、大師丸船団六隻および弁天丸の合計十一隻を加えて捜索を行った。
清水海上保安部では、多数の巡視船艇を出動させて捜索を始め、翌朝から航空機を含めて沈没地点付近を中心に捜索範囲を拡大して捜索を続けた。
通信長、甲板長、機関員Sおよび司厨員Tの四人は、僚船に救助され病院に搬送されたが、通信長と甲板長は共に濁水で死亡した。
十二月三十日午後五時二十分、ころ測量船が水深三百二十メートルの沈没地点に付近海底と異なった形状物を探知し、引き続き捜索を行ったが、乗組員十六人は行方不明となり、のちいずれも死亡と認定された。また25号は、沈没により全損となって船舶原簿が抹消され、同船の滅失によって五郎竹丸船団の各船は、その後すべて売却されて同船団は解散した。
原因
本件転覆は、冬期、御前崎沖合で操業を行うに当たり、海上強風警報が発表され荒天が予想される際、気象海象に対する配慮不十分で、発航することを中止しなかったことと、発航に当たり、満載喫水線の不遵守で、大波を受けて甲板上に多量の滞留水を生じ、復原力を確保できなかったこととによって発生したものである。
船舶所有者は、就航後の改造と漁具など搭載物の大幅な過積載により、喫水が満載喫水線を大幅に超えて乾舷がほぼ零に等しい状態になっていたにもかかわらず、漁獲量の向上に努力を傾注する一方で、すべての権限を船団長に付与したまま、搭載物の軽減をするなど、乗組員に対して満載喫水線の遵守についての指導監督を行わなかったことは、本件発生の原因となった。
指定海難関係人の所為
指定海難関係人が冬期、御前崎沖合で操業を行わせるに当たり、25号の乗組員に対して、満載喫水線を遵守することについての指導監督が十分でなかったことは、本件発生の原因となる。
指定海難関係人に対しては、本件発生後五郎竹丸船団を解散し、以後の操業を取り止めたことに徴し、勧告しない。
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